AI時代に求められるのは「つくる力」だけじゃない。技術部門責任者が語る、これからのIT業界と働き方
高崎共同計算センター × ハロキャリ|イベントレポート
「AIがプログラムをつくれる時代に、エンジニアの仕事はどう変わっていくのか?」
生成AIが急速に普及し、私たちの生活や仕事のあり方が大きく変わろうとしている今。
これから社会に出る学生の皆さんには、どのような力が求められるのでしょうか。
10月15日(木)、高崎経済大学近くのコミュニティスペース「ハロキャリ」にて、
株式会社キャリコ主催の学生向けキャリアイベントが開催されました。
今回のテーマは、
「『つくれる』だけじゃない。AI時代に求められる人とは? ~技術部門責任者と考える、これからの働き方~」
当社からは、アプリ技術部 部長の大嶋と採用担当の加藤が参加しました。
技術者として長年IT業界に携わってきた大嶋の経験をもとに、IT業界の変化やAIとの向き合い方、
そしてこれからの時代に求められる人材について、学生の皆さんと一緒に考えました。

技術者から、技術と人をつなぐ立場へ
トークセッションでは、まず大嶋自身のこれまでのキャリアについてお話ししました。
大嶋は、ハードウェア開発からソフトウェア開発へと仕事の領域を広げ、技術者として経験を重ねてきました。
その後、技術部門のマネジメントや顧客への提案などにも携わるようになり、現在は技術だけでなく、事業や組織をより広い視点から捉える立場にあります。
こうした経験を通じて感じてきたのが、IT業界に求められる役割の変化です。
かつては、専門的な技術や知識を持ち、依頼されたシステムを正確につくることが、IT企業の大きな価値の一つでした。
しかし、技術の進化やサービスの普及によって、以前は専門家にしかできなかったことが、より多くの人にできるようになってきています。
さらに、生成AIの登場によって、プログラミングのあり方も変わり始めています。
そんな時代に、私たちIT企業はどのような価値を提供していくべきなのでしょうか。
これからのIT企業に求められる「コーディネートする力」
今回のトークセッションで、大嶋が特にお伝えしたかったことの一つが、「コーディネートする力」です。
IT業界では、技術の進化とともに、仕事のあり方も大きく変化しています。
以前は、専門的な技術を持ち、お客様から依頼されたシステムをつくることが重要な役割でした。
もちろん、現在も技術力は欠かせません。
しかし、さまざまな技術やサービスが普及し、生成AIによってプログラムをつくることも身近になった今、
単に「つくれる」というだけでは、他社との差別化が難しくなりつつあります。
そこで重要になるのが、お客様の課題を理解し、必要な技術やサービスを組み合わせ、最適な解決策を提案する力です。
お客様自身も、何が課題なのか分かっていないことがある
例えば、お客様から「業務をもっと効率化したい」という相談をいただいたとします。
しかし、その時点では、どの業務に問題があるのか、何を改善すればよいのか、具体的な解決方法まで明確になっているとは限りません。
これまでのように、お客様から「こういうシステムをつくってほしい」と依頼されるのを待っているだけでは、
私たちが関われる仕事の範囲も限られてしまいます。
だからこそ、私たち自身がお客様の現場に足を運び、実際の業務を見たり、担当者の方からお話を伺ったりしながら、
課題を整理していくことが大切になります。
「なぜ、この作業が必要なのか」
「本当に困っているのは、どの部分なのか」
「今ある仕組みを変えることで、もっとよくできないか」
こうした対話を重ねることで、最初は漠然としていた困りごとが、少しずつ具体的な課題として見えてきます。
お客様から仕事をいただくのを待つのではなく、お客様と一緒に課題を見つけ、私たち自身が新しい仕事を生み出していく。
これが、これからのIT企業にとって重要な姿勢だと考えています。
すべてを自分たちで「つくる」必要はない
課題が明確になった後も、必ずしも新しいシステムを一から開発することが最善とは限りません。
世の中には、すでに多くの便利な技術やサービスがあります。
既存のシステムを活用した方がよい場合もあれば、複数のサービスを組み合わせることで、
費用や開発期間を抑えながら課題を解決できる場合もあります。
もちろん、お客様の状況に合わせて、独自のシステムを開発することが必要なケースもあります。
大切なのは、特定の技術や開発方法にこだわることではなく、さまざまな選択肢の中から、お客様にとって最適な方法を考えることです。
そのためには、プログラミングなどの専門知識だけでなく、
幅広い技術やサービスへの理解、業務を把握する力、提案力、そしてお客様とのコミュニケーション力が必要になります。
私たちが考える「コーディネートする力」とは、単に人と人をつなぐことではありません。
お客様の課題と、世の中にある技術やサービスを結びつけ、新しい価値を生み出す力なのです。
AI時代だからこそ、人が担う役割がある
こうした仕事のあり方は、AIの進化によってさらに重要になっていくと考えています。
生成AIは、プログラムの作成や情報収集など、さまざまな作業を効率化してくれます。
一方で、お客様が実際にどのような環境で仕事をしているのか、
現場で何に困っているのかを理解するためには、現場を見ることや、人と対話することが欠かせません。
また、AIが提示した解決策をそのまま採用するのではなく、実際の業務に適しているか、安全性や品質に問題がないかを判断することも必要です。
AIを使うこと自体が目的なのではなく、AIも数ある選択肢の一つとして活用しながら、よりよい解決策を考えていく。
技術の進化によって「つくる」ための手段が増えたからこそ、
「何を解決するべきか」「どのような方法が最適か」を考える人の価値が、より重要になっていくのではないでしょうか。

AIは仕事を奪うもの? それとも可能性を広げるもの?
AIの進化によって、将来なくなる仕事があるのではないかと、不安を感じている学生もいるかもしれません。
実際、生成AIを活用すれば、専門知識が十分になくても、簡単なプログラムを作成できるようになってきています。
しかし、AIがプログラムを生成できることと、それが実際の仕事で正しく、安全に使えることは別の話です。
求められている仕様を満たしているのか。
想定外の動作や不具合が発生しないか。
本当にお客様の課題を解決できるものになっているのか。
こうしたことを判断するためには、技術的な知識や経験が必要です。
私たちは、AIを単に仕事を奪う存在として捉えるのではなく、仕事の可能性を広げてくれるツールとして考えています。
AIを活用することで作業を効率化できれば、その分、お客様との対話や課題の発見、新しい提案に時間を使うこともできます。
これからのエンジニアには、技術を使いこなす力に加え、その技術を使ってどのような価値を生み出すかを考える力が求められていくと感じています。
これから活躍する人に共通する「当事者意識」
技術が進化し続ける中で、どのような人が活躍できるのでしょうか。
トークセッションでは、大嶋が大切にしている「当事者意識」についてもお話ししました。
仕事において、誰かから指示されるのを待つのではなく、自分にできることを考えて行動する。
例えば、会議の中で次に必要なことが見えてきたとき、自分から「それは私がやります」と手を挙げる。
一見すると小さな行動かもしれませんが、こうした積み重ねが周囲からの信頼につながります。
そして、仕事を任される機会が増えれば、それだけ多くの経験を積むことができます。
経験が増えることで、さらに新しい仕事に挑戦できるようになる。
こうした成長の循環を生み出すうえで、当事者意識はとても大切なものだと考えています。
また、IT業界は技術の進化が非常に速い業界です。
今身につけた知識や技術が、数年後も同じように使われているとは限りません。
だからこそ、現時点で何ができるかだけではなく、
新しいことを素直に吸収し、積極的に挑戦し、自ら学び続けられることが重要になります。
当社でも、積極性・素直さ・自ら学ぶ意欲を持った方と、一緒に働いていきたいと考えています。
文系・理系にとらわれず、IT業界を選択肢に
学生の皆さんとの対話では、文系出身者がIT業界で活躍できるのか、という話題も出ました。
IT業界というと、理系出身者やプログラミング経験者が活躍するイメージが強いかもしれません。
しかし、実際の仕事では、お客様の話を聞く力、課題を整理する力、相手に分かりやすく説明する力など、さまざまな能力が求められます。
特に、先ほどご紹介した「コーディネートする力」を発揮するためには、技術的な知識だけでなく、
お客様の立場に立って考え、相手の意図をくみ取ることも大切です。
当社でも、毎年文系出身者を採用しており、プログラミング未経験からシステム開発の現場で活躍している社員がいます。
入社後には、ビジネスマナー研修に加えて、1〜3か月程度の実務・技術研修を実施しています。
専門的な知識や技術は、入社後にも身につけることができます。
また、学生時代にITに関する基礎知識を身につけておくことも、将来の選択肢を広げる一つの方法です。
今回のイベントでは、ITパスポートやAIパスポートのように、ITに関する知識を幅広く学べる資格も紹介しました。
学生の皆さんには、今の専攻や経験だけで将来の可能性を限定せず、少しでも興味のある分野には積極的に挑戦してほしいと思っています。

群馬から、さまざまな業界の未来を支える
イベント後半では、採用担当の加藤から、当社の事業や働く環境についてご紹介しました。
高崎共同計算センターでは、自動車関連のソフトウェア開発をはじめ、
製造業向けの生産管理システム、医療機関向けのシステム、Webシステムやスマートフォンアプリの開発など、幅広い事業を展開しています。
例えば、自動車関連の開発では、今つくっているプログラムが、5年後、10年後の自動車に搭載される技術につながることもあります。
また、医療機関向けの電子カルテや医療事務システム、製造業の業務を支えるシステムなど、
私たちの仕事は日々の暮らしや社会のさまざまな場面に関わっています。
普段の生活では見えにくい部分ですが、群馬にいながら、さまざまな業界の未来を支える仕事に携われることも、当社の魅力の一つです。
当社では、チームで協力しながら仕事を進める機会も多く、技術力だけでなく、コミュニケーション力や周囲と協働する姿勢も大切にしています。
学生の皆さんへ ― 変化する時代だからこそ、自分の可能性を広げてほしい
AIの進化によって、これからの社会や仕事がどのように変わっていくのか、正確に予測することは簡単ではありません。
だからこそ、今ある知識や技術だけにとらわれず、学び続ける姿勢が大切だと考えています。
自分は何に興味があるのか。
どんな仕事に挑戦してみたいのか。
そして、自分の力を使って、誰のどんな課題を解決したいのか。
これからのIT業界では、プログラムをつくることだけが仕事ではありません。
技術を深く追究する人もいれば、お客様の課題を発見する人、さまざまな技術やサービスをコーディネートする人、プロジェクト全体を動かす人もいます。
それぞれの強みを活かせる、多様な可能性が広がっています。
高崎共同計算センターでは、今後も学生の皆さんにIT業界や当社の仕事を知っていただける機会をつくっていきたいと考えています。
当社の仕事に少しでも興味を持っていただけた方は、ぜひ仕事体験などにもご参加ください。